ルーカスウッドへようこそ ~ジョージ・ルーカスの「故郷」に迫る~
「スター・ウォーズ/新たなる希望」(1977年)をイギリスのエルストリー・スタジオで撮影したジョージ・ルーカスとゲイリー・カーツは、1979年に続編を製作するためにボアハムウッドにやって来ました。スター・ウォーズ・インサイダーの編集者クリストファー・クーパーが、197号からの独占抜粋で、イギリスのハリウッドとして知られるようになった、豊かなこの町の映画の歴史を分かりやすく解説していきます。
シェンリーロードに沿ってボアハムウッドのお店やレストランを横目に歩いて通り過ぎても、チャップリンほどの俳優に「イギリスのハリウッド」と言わしめた、このハートフォードシャーの街の輝かしい過去の名残、例えば反乱軍の秘密基地や木々の生い茂った月(エンドア)や雪の惑星(ホス)はほとんどありません。その上、ここが20世紀のイギリスの映画界が注目していた場所だったことなど知る由もありません。
沢山の車が行き交う交差点の東側、地元の鉄道の駅から徒歩5分ほどのところにある駐車場は巨大なスーパーマーケットの近くまで広がっています。ここの冷凍食品売り場に足を踏み入れれば、その冷たさは氷の惑星ホスを思い起こさせるかもしれません。それもそのはず、この店はエルストリースタジオのステージ6の跡地にあり、かつてミレニアム・ファルコンがエコー基地の氷で切り立った洞窟の中に眠っていた広さ3,000フィートのサウンドステージだったのです。「帝国の逆襲」のために特別に建設されたこのステージは、1990年代に当時のスタジオのオーナーが経済的に苦しい時期に土地を売却したために財政難に陥り、ずっと前に取り壊されてしまいました。しかし、テスコの駐車場の北側にある高いフェンスの向こうには、複合施設の残りの部分が残っています。ここはかつてないほどの賑わいを見せています。インサイダーが2020年初頭にこの場所を見学したとき、Netflixの「ザ・クラウン」(2016年)の第4シリーズが撮影を終えようとしていましたが、その間、オリジナルの「スター・ウォーズ」3部作の制作中に使用されたものも含め、他の複数のテレビ番組がスタジオの小さなサウンドステージを埋め尽くしていました。
「ハリウッドやロサンゼルス以外で、一箇所に6つのスタジオがあるところは他に思いつきません。」と、エルストリースタジオの遺産コンサルタントであり、1月にエルストリーの敷地内を案内してくれたポール・ウェルシュ氏が教えてくれました。
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)以来、パインウッドは新世代の銀河系アドベンチャーの制作拠点となっていますが、1975年にジョージ・ルーカスの無名の作品をスタジオから生み出した時の話は別のものでした。
「ゲイリー・カーツから聞いた話では、パインウッドは全ての舞台を一つのプロダクションに引き渡すことを嫌がっていたので、イタリアのスタジオでの撮影を検討していたそうです 。」とウェルシュは言います。「それから誰かが『エルストリーに行ってみたらどうだ?今は絶望的な状況で、ほとんど誰もいなくなってしまっている。あそこには9つものサウンドステージがあるんだぞ。』と言ったんです。そこでカーツが来て、当時のマネージングディレクターのアンドリュー・ミッチェルに話をしてスター・ウォーズがスタジオ全体を引き継ぐことに同意したのです。」
「新たなる希望」の制作には金銭的なプレッシャーがかかっていたことは周知の事実でしたが、続編のスタジオを予約する際には、競合する相手はいませんでした。
「ハリウッドのユニバーサルスタジオに比べればコンパクトなエルストリーを ルーカスは気に入ったのでしょう。彼は編集室からセットまで自由自在に歩きまわり、施設のほとんどをコントロールすることができました。『新たなる希望』が大成功したので、彼にとっては幸運のお守りのようなものになったのだと思います。その後、人々はボアハムウッドをルーカスウッドと呼ぶようになり、そこはまるで彼の故郷のような場所になったのです。」
ソース:starwars.com